新規保険適用とは

新規保険適用は既存区分に合致できない新規の材料、技術について新規の保険区分が審査され要件を満たしたものに新たな保険を適用するものです。その結果、新規の区分を創設又は増設を行う場合と、差違が軽微なものであれば既存の区分の範囲を読み替えにて拡大する対応もあります。有用なものであれが相応の加算が行われる仕組みになっています。ここで新たに設定された区分は以降の同様の材料、技術に対する受け皿となります。

重要!新規保険の可能性の点検を

医療機器の開発計画をお持ちの場合、それが新医療機器ではない場合であっても何らかの新しい機能や性能の向上のある製品であるならば新規保険適用の可能性がある場合があります。

そのような場合是非弊社の無料相談を利用した新規保険可能性の確認をご提案いたします。

保険導入のルート

保険の申請は大きく分けて製造販売業者によるものと2年毎の診療報酬改定時に各学会の要望を集約、評価したうえで収載する方式があります。

1.製造販売業者(メーカー)による申請

製造販売業者による申請は一つの製品について一回の機会しか与えられません。また医療経済上の有用性が成立しない製品については事実上門戸が開いていないのが現状ですが、1,4,7,10月に保険適用の機会があること、製造販売業者が主体的に進めることができるメリットがあります。

2.学会要望による保険導入

診療報酬改定時には様々な学会が保険に関する新設や増点の要望を厚生労働省に提出し、医療技術評価分科会のスクリーニングを受けた案件が保険導入されています。製造販売業者による申請がなされないものであっても、学会がそれについて保険適用を要望することができます。

しかしながら学会要望による保険導入は各学会で上位に順位付けされる必要があり、その他の様々な要望の中にあって確実に実現するものではありません。そのため二年に一度の改訂を数回経て実現することも覚悟する必要があります。ただし既存の保険点数の増点や、医療経済上の有用性が見出せない製品についても実現する可能性のあることから、診療報酬改定時における学会要望に期待しなければならない場合があります。

新規保険の難易度

新規保険はその内容により申請の難易度が大幅に異なります。一般的には新規保険を要望する材料、技術した結果としての有用性が明確に示せるはものは申請者側の要望する保険点数や条件が認められやすいのに対し、有用性の評価が定まらないものについては厳しい結果(低い保険点数など)となる傾向があります。

またその材料、技術を採用した結果、従来法に比べて医療費の減少することが重要な審査ポイントであり、適用の前提となる不文律があります。これらの主張方法は薬事承認申請とは大幅に異なるものであり、またその要求条件や記載方針は刻々変化するため、極めて高度な対応が求められます。

新規保険適用申請のリスク

医療機器、IVDの新規保険適用申請は審査のある段階より事実上取り下げる道がありません。結果が見えはじめた時点においてその内容が不本意であるとしても、そこでの選択肢は受諾もしくは拒絶のみであり、保留はできません。拒絶した場合、時間をおいての再審査は事実上不可能であるとのことです。

つまり新規保険適用はリスクを伴う「一発勝負」とされる所以です。

対策としては周到な準備を行うことにつきるのですがビジネスとして無限に行うことは不可能であり、ある程度の「見込み」に基づいて進める以外無いのが現状です。

成否を分ける前例把握

これまで申し上げましたように新規保険の審査は極めて厳しいのが現状ですが、多くの場合適切な(有利な)前例を見出せるか否かが大きく結果を左右します。まったく同一の前例は存在しませんが、近似した案件を発掘しそれをどのように利用するかが重要なカギとなります。

弊社は創業以来多くの新規保険適用を手がけてきており、これまで把握した多数の前例とその活用のノウハウにより適切な「見込み」と準備を提供いたします。

必須ではない臨床試験

新規保険の場合臨床試験を伴う製品のみが対象となると考えられる向きがありますが、必ずしもそうではありません。新しい機能が付加されたもののほか、大幅な性能の向上により従来とは異なる有用な結果が見込める材料、技術であれば新規保険を認められる可能性があります。

薬事承認に求められる臨床試験では安全性・有効性に焦点を当てたものであり、ここでいう有効性はコストの掛かるGCP下における観察項目などの制約により薬事承認に必要十分なものであることが大半です。しかしながら保険適用で重視する有効性は最終的な有効性を見る傾向にあり、臨床試験で確認された有効性をさらに外挿したものが求められることがほとんどです。

逆に考えると新規保険適用において臨床試験は必須ではなく、むしろ新規の機序がどのような最終結果をもたらすかが重要といえます。薬事承認書の記載事項はあくまで対象製品に関する事実ですが、その保険適用審査は製品が臨床現場でどのような有効性を発揮したかを見るものです。

医療機器の開発においてコストの掛かる臨床試験を回避しつつ、如何に有用な最終結果を主張できるかが腕の見せ所といえます。薬事承認書に記載された製品自体の性能・機能が臨床現場における有用性に関連づける主張を行うのが保険適用希望書です。

弊社のこの分野における経験値を多く持ち、そのノウハウに基づき支援をしております。

薬事承認方針

前項でも述べたように保険適用は薬事承認書の記載事項に基づく臨床利用の結果を有用性として主張し、しかるべく保険点数を行政に認めていただくものです。薬事承認申請の際に、最終的な有用性の主張に紐付けられる内容を盛りこむことが極めて重要です。有用性の検証方針や保険適用希望書の記載方針を念頭に薬事承認申請の記載を行う必要があります。

弊社は薬事承認支援業務も行っており、薬事ルールの中で保険適用を視野に入れた承認申請に関するアドバイスを行っております。

臨床試験デザイン

製品の新規性が高いなど臨床試験を行う必要がある場合は、同時に保険適用のためのデザインをインプットする事が極めて有用です。そのため臨床試験デザインに関して保険適用の観点からの助言を行っております。

保険適用環境構築 学会要望・KOL対応

保険適用は製品の「臨床における有用性」を厳しく審査されます。製品自体の臨床上の有用性と必要性は製造販売業者による主張よりむしろ使用者としての医師-学会の見解が重要視されます。

特に新規性が高く有用性が予想されるが、実際の評価者が少ないいわゆる見認知の製品については学会の理解を得るための啓蒙活動が保険適用の重要なカギとなります。臨床の立場を代表する関連学会の要望や支援が保険適用の行方を左右するともいえます。そのため関連学会への啓蒙活動が重要なテーマでありその成否は直接保険適用の成果に直結するといえます。

弊社はそれらの学会に対する啓蒙活動を営業的なセンスを交えて実施してきており、これまで多くのKOLの方々に企業の代理人として保険適用の説明と請願を行って参りました。学会における啓蒙活動の基本は学会幹部に対する営業活動ともいえるものですが、通常の営業活動との大きな違いは「影響力を持つ有力な教授」に対する折衝であり、そのような立場の方々に礼を尽くしつつも臆することなく製品と保険適応ルールを説明し理解を得ることが求められます。

一般的にKOL(Key Opinion Leader) といわれる方々はときには行政においても様々な委員などを努めておられる場合があり、そのような高い立場にある方々との折衝は、我々としては極めて緊張を強いられるものです。特に委員などを務めた経験のあるKOLであってその経験による自信をもたれているような場合であっても容易にミスリードが起こり、かつ我々として訂正する機会を逸する場面が多々起こりえます。このような場合、保険全般の確実な知識に基づく訂正の発言を行うことが大切であり、高いスキルを求められる場面でもあります。

弊社の提供する実地活動のなかでKOL対応は重要なテーマであり、このような場面に対して保険に関する多くの情報に基づく適切な対応をいたします。通常マーケティング担当者と同行させていただき、専門家としての紹介をいただいた後、適宜必要な発言などにてサポートをしております。それらを重ねる事で信頼を得つつご依頼者と「二人三脚」の活動として進めるスタイルを実践しております。

保険対策を加えた開発マネジメント

新規保険の準備は医療機器の企画開発段階から進めるのが理想です。医療機器開発の際にはその収益を予想し、投入可能なリソースとのバランスを確認することになりますが、収益に直結するのが保険適用の成否です。特に臨床試験など大きな投資を伴う開発においては保険償還価格予想し、またその予測が外れないよう計画を管理することが重要です。

保険適用は薬事承認後のテーマとして対策がなされない事例が多々あり、そのような中で保険適用に必要な有用性データの準備が整わないことや、関連学会の認知が進まないことで不本意な結果を招くこととなります。保険適用は医療機器開発のマネジメントの一環として当初より取り組む必要があります。

新規保険の準備について

新規保険の難しさは有用性のデータの準備とその構築に時間が掛かる点にあります。
有用性をどのように主張するか当初より把握の上、開発期間全般を利用してその準備を進めることが重要です。

弊社ではこれら計画全般に関して保険適用の視点から必要なアクションをご提案いたします。